――「ねえ、輝先輩…。」


「どしたの?」


いつもの帰り道。



『てか、輝先輩に言っちゃいなよ!』

華の言葉を、何度も思い出す。



「…ん?」


輝先輩が、不思議そうな顔をする。





…言うんだ。


他の先輩が、あたしに…


あたしに…


嫌がらせ?

や、ボコられ…てもない


おどし?

あ、警告…はおかしいか


何をされたかって言えば


何もされてない。


でも……


でも…



「エマちゃん…?」


「あっ、いや…何でもないです」


あたしの反応に、輝先輩は変なの、と笑った。



そして、顔を近づけて耳元で囁いた。


「何かあったら、いつでも言ってね?」


「…はぃ」


胸の鼓動が高鳴る。



輝先輩はあたしの額に、音がするように口づけした。