――「あっ。みたらしだんご、あんで?」 琉唯が指さした教室には、『和風カフェ』の看板が下がっている。 「食べる?」 「ううん。いい」 あたしは、その教室の前をさっと通り過ぎた。 「なぁ」 後ろのほうから聞こえる、琉唯の声。 「なぁ、ちょっ、待てや!」 琉唯が、あたしの腕をつかむ。 「…なに?」 「さっきから、なに怒ってんねん?」 「別に怒ってないし」 「怒ってるやんけ」 琉唯は、あたしを見つめてくる。 ……ばかじゃん。 ばっかみたい…………あたし。 ほんと、なに怒ってるんだろ……?