車が走ってる間はどちらからも喋りかけたりもしないまま、賢治が連れてきてくれた場所に着いた。




「海…」
「そだよ…」
やっと交わした会話は、短い言葉だけ…
だけど、さっきまでの賢治じゃなかったから一安心した。





「どうして…海なの??」あたしが聞くと、



「この場所は…両親とよく来た場所だからだよ。俺の父さんも母さんも…いなくなった。
交通事故で亡くなったんだ…」



交通事故…。





「今は1人でたまに来てるんだ。なんかさ…ここに来るだけで安心するんだよな…」


「安心…?」

「うん。来すぎたからかな?美月といるからかな??」

「バカっ!!」


「やっと笑った!!」

「へ??」

「だって…ずっと怯えてたから…ごめんな…こわい思いさせて…」


賢治はあたしに近づいて抱きしめてくれた。



「あたしの方こそ…
ごめん…早くに言えばよかったのに…」