花の家

 蝶が来るより、早や昔。

 花が来るより、早や昔。

 村の境の大山に、異界より来たりし蜘蛛が住み着いた。

はじめは小さな蜘蛛であったのが、年を経り経り、それはそれは大きな蜘蛛になったという。

 どうか、大蜘蛛さま、お力を御貸し下さいませ。

 蝶から花を守るため、傷ついた村人は、その大蜘蛛に嘆願したのだと。

『面倒なことを。ならば、しもべのカマキリを貸してやろう』

 されども、蜘蛛は重い腰を上げようとせず、カマキリをつかいに出したって。

カマキリは、何でも切り裂く鎌を持つ。

蝶のことも、滅多斬り。

だけども、蝶々、死にゃあせず。