花の家

「姉さん、具合が悪いなら無理しないで……話なら、今度に」

 震える肩を支える多郎の手に、妙な反発を覚える。

人の好意を素直に受け入れられない自分に、嫌気がさした。

「大丈夫だよ、信じられないような話ばっかりで、ちょっと混乱してるだけ」

「それは、話を続けても構わないということか?」

 朝蜘が香里を見下ろしている。

いっそ、訊いてしまおうか。

そんな考えが頭をよぎる。

だけど、何て訊けばいいの?

私、自分のじゃない記憶があるみたいなんです、って?

でも、そんなこと言われても、困るだけだよね……?

考えは迷走するばかりで、何処にも行きつかない。