花の家

 朝蜘に問われて、香里は間の抜けた声を出した。


 どうしてって……その時のことを知っているから。

そう言おうとして、初めて自分の異常性に気がつく。

知っている筈がないのに。

そんな時代に、生きている訳がないのに。

それなのに、思い出そうとすれば、もっとはっきりと思い出せてしまいそうな自分がいる。


  これは、誰の記憶……?

 香里は、ひどく混乱して、額を押さえた。

私の中に、私じゃない人間がいるみたい。