花の家

 虫人と言えど、多くは人の形にあらず。

力強き者のみが、人のかたちをとるという。


「ある日、村に花のむすめを狙う虫が現れた」

 力の強いことを誇示するような、見目よい少年の姿で。

雪のように白い肌に、睫毛に縁取られた二つの目。

すらりと伸びた手足は、しなやかに。

微笑みばかりは、天人のような慈悲深さ。


『君を食べに来たよ』


 麗しくも禍々しき蝶は、声すらも涼やかに舞い降りた。