花の家

「それが……わたしの祖先?」

「その通りだ。村人の歓待に喜んだ花人は、この村に住むことにした、と」

 朝蜘家に伝わる文書には、そう書き残されている。

 異界からの迷い人の子孫は、自分の血の根源である人を思った。


村人に歓迎されたからって、そんな簡単に故郷を捨ててしまえるものなんだろうか……。


「館花、何を、ぼけっとしている。話はまだ終わっていないぞ」

 すっかり話は終わったものと思っていた香里は、声を掛けられて、びくりとする。


「現実は、そう容易く、めでたしめでたし、とはいかないと言うことだな」


 きれいな花があれば、虫が寄ってくるというのが世の道理だ。


 虫人という、花人を喰らう生き物が。