花の家

 こっちの世界の人間が、あちらの世界に迷い込む、というのもない訳じゃなかった。

 あの花の国を見た者は、そこを様々な名前で呼んだ。

極楽浄土、常世、ニライカナイ、約束の地、理想郷……

名前は違えど、そこは変わらぬ美しい世界。

春の終わらない国。

この世ではない土地。

そこに住むのは、又、人ならざる者。


「館花は、花人の家だ」

 花人はきれいな、ひとの娘と変わらぬ姿をしているという。

ひとと変わらぬ姿で、大地を潤すと。