「……先生、ごめんなさい。ちゃんと聞かせて下さい」 そんなの、良い訳がない。 香里は意志の宿った目で、朝蜘を見上げた。 「姉さん!」 再び非難がましい視線を送る多郎に、香里は向き直る。 「多郎ちゃん、多郎ちゃんは、心配しなくてもいいって言うけど……私は心配したいよ」 思いもかけない言葉だったのだろう、多郎は驚いた顔をした。 「私は、鈴が死にそうなときに、何も知らないでなんていたくない」 現実に起こりえたことに、ぞっとする。 私は、知りたい。 恐いことでも、知りたい。