花の家

「何言ってるのか、よく、分からないんだけど……」

 震える手で、落ちてきた髪を耳にかけた。

深く考えたくなくて、分からない、なんて言葉でごまかす。

「君は、理解力が足りていないのか?」

 自分の手元ばかり見ている香里を、朝蜘は呆れた顔で眺め、そう吐き棄てた。

香里は怯えたように、肩を震わす。

「朝蜘さん、その言い方はねぇだろ。香里は混乱してんだよ」

 縮こまっている幼なじみを庇うようにして、鈴が家主に食ってかかった。

「自分が聞きたがったくせに、聞かなかったことにするようでは話にならん」

 朝蜘は、香里の弱さを正面から見抜いてしまう。