花の家

「でも、ここには森なんて……あの時だって消えてしまったし」

「同じ場所だが、存在する次元が違う」


 先生の言葉は難しすぎる、と香里は思う。

困り果てた顔をしていたのだろう、朝蜘は香里の顔を見て、舌打ちを一つ。

もの分かりの悪い生徒だ、と言われた気分になった。

「次元が違うのだから、普段は見えも触れられもしない」

 ああ、確かに触れなかった。

 香里は鈴に抱えられて、木の幹を通り抜けたことを思い返す。

激突すると思ったのに、まるで幽霊の如く幹を通り抜けてしまったときのことを。

 あれが次元が違うっていうこと……?