花の家

 朝蜘が言うには、こうだ。


「まず、世界は二つ存在する」

 思いがけない切り口に、香里は面食らう。

《開花》について尋ねた筈なのに、世界が二つということになってしまった。

「まず君が今、知覚している世界。私の家があり、君が座っている、ここだ」

 朝蜘が人差し指を立てて、この場所を一つ目の世界と定義する。

そして、呼吸を切り、二本目の指を立てた。


「二つ目は……君が学校で見た、森の世界だ」

 香里は、びくりと身を震わせる。

夢だと思い込もうとした、あの森を思い出したのだ。