花の家

「腕、切っちゃったら、もう邪魔できないかなあ」

  揚羽が地面に転がっている鈴の腕を、足で押さえつけながら言う。

「殺しちゃったら香里が泣くかもしれないから、腕で我慢してあげる」

 にこりと慈悲深く微笑んで、腕を高く上げる揚羽を、鈴目は眩しそうに見た。

「……くそっ、やっぱ、強ぇよなあ」

 やだ、何で、そんな諦めるみたいに言うの?

 香里は、鈴の腕を失うなんて、嫌だと思った。

 野球で、すごく速い球を投げる腕。

 授業中、ノートをとる腕。

 香里を抱き抱えてくれた腕。


 大切な腕。