定住せずに、常に旅をする。

そんな生活。



「おーい小町!行くぞー」
「はーい、待ってよっ」


こんな仕事、世間一般で認められるのだろうか?
正直、私は心底うんざりしていた。


「小町ももう高校生かぁ……」
「ね、ボケてんの?私もう高二だよ。」


ガタガタとボロイ車に揺られながら
どこかも分からない土地を走る。

いつだって能天気でマイペースな両親。
ニコニコ、へらへらしてて
いつ騙されてもおかしくないのに
よくこんな仕事が続いているものだ。


「ねーどこ行くのー。」
「お楽しみでしょ、小町っ」
「お楽しみとかほんと、そーいうのいいよ。」


私ももう、17歳。
高校には通っていたけど、
どこに行っても友達なんて無意味。

ただでさえ貧乏のくせに、
こんなことしてたら制服、教材代だけで
貯金なんてすぐ無くなっちゃうよ。


「高校もちゃんと行くんだぞ!」
「お友達もたくさん作るのよ!」
「はいはい……どーせすぐに帰ってくるくせに。」


そんなの、人に気を使うだけ無駄だよ。
正直、高校なんてあまり気分が乗らない。

だから制服をわざわざ作るのにも
気が引ける。
普段、生活費なんてほんの少ししか置いていかないくせに
そういうところにお金使わないでよ。


私の心境を言っても分からない両親は
うきうきと車を走らせた。