あたしは政樹の腕にギュッと抱き着いた。

春と美月の嫉妬の視線を痛いくらいに感じたが、あたしには余裕が無かった。

今にも泣きたいくらいだったから…

「俺達、今目が覚めたばかりなんだ…。他に誰かいなかった?」

政樹が春に聞いた。

「俺と夢は海外沿いを歩いて来たんだ。他に誰にも会ってない。」

「そしたらもぉ少し先まで行ってみない?私、翔を捜してるの。」

美月が話に入って来た。

「俺は奈緒を捜してるんだ…。」

美月と春が顔を合わせた。
…きっと二人も一緒だ…

全員が無言のまま視線を交わし合った。