まだまだ行けると思っていても、午前中三時間仕事をしたら、午後からは幾分ペースを落とす。


 合間合間にトイレ休憩にも立つので、その分、時間は取っていた。


 ドクターからは軽めの精神安定剤と睡眠導入剤を出してもらっていて、それを服用しながら、様子を見ている。


 確かに以前のようにクヨクヨ考え込むことはなくなった。


 やはり肉体というより精神面での疲れが目立っていて、治登は昼間仕事をし過ぎたら、終業後、疲れて自宅に帰るか、直美とホテルで会う。


 どこかしらで癒しが欲しいのだ。


 仕事で疲労が重なっているのだから……。


 そして直美を愛おしく思うのだから……。


 いつの間にか、治登は自宅から遠ざかり、直美と都内のホテルで密会することの方が多くなった。


 愛しているという一点を取るだけで。


 その日も、治登は昼食休憩を挟んで、午後三時過ぎまで書類を読み続けた。