本当に愛おしい君の唇

「疲れたときはアルコールがいいだろ?」


「そうね。あたしももう食事済ませてるから、後はお風呂に入って寝るだけ」


「俺も実は夕食は早めに済ませたんだ。会社のすぐ近くにあるレストランでね」


「また美味しいもの食べたんでしょ?」


「よく分かったね。……俺の食事の好みとか知ってるの?」


「ええ。治登さん、美食家だから」


 言い当てられるというのは、まさにこういったことを差している。


 確かに治登は夕食にステーキを食べたり、和食店でも中華料理店でもフルコースの料理を口にしたりしていた。


 一部上場企業の専務ともなれば、それ相応の贅沢はする。


 何せルーデルは年商が五百億ほどの大会社だからだ。


 皆、幹部クラスの人間たちは衣食住に惜しげもなく金を使う。


 治登は直美とワインを飲みながら、気になっていたことがふっと頭をよぎる。