直美がそう言って、ワイングラスに口を付ける。


 頬が赤くなり出した。


 酩酊(めいてい)している証拠だ。


 治登が、


「君、大丈夫か?」


 と問うと、彼女が、


「ええ。何とかね」


 と返した。


 ただ、三杯目を飲んでしまってから、とうとうベッドにゴロンと横になる。


 やはりアルコールという代物は人間を堕落させてしまうのだ。


 治登も二杯飲んでから、


“この酒は強すぎる”


 と思って、コルクの栓をし、テーブルに置きっぱなしにした。