本当に愛おしい君の唇

 そしてルーデルを磐石(ばんじゃく)なものにしないといけないと感じていた。


 そのためなら手段を選ばない。
 

 治登はここ数日間、ずっと考え続けていた。


 いずれは甥と養子縁組をして、跡継ぎに据える。


 これは大多にも樺島にも話したのだった。


 最初は二人とも、そんな同族経営めいたことは止めろよと言われたが、治登がきっぱりと、


「この会社が存続していくためには仕方ないじゃないか」


 と断言したのだ。


 それぐらい真剣みがあるのだった。


 実質的な会社の経営者である治登にとって、いずれ大多や樺島、それに秘書課の人間たちなども残らず入れ替わると思っている。


 つまり社全体が新しくなるということだ。


 今から十年先、二十年先にルーデルが潰れることを想像したくはなかったのだし。