本当に愛おしい君の唇

た。
　

　泡を立てて軽く擦ると、彼女の頭皮に浮かんでいた脂分が少しずつ取れていく。


　しっかりと擦って、その後、綺麗に洗い流してしまった。


　治登も自分の髪を洗う。


　男性だが、使うシャンプーやリンスなどには結構気を使っているのだ。


　シャンプーしてから、シャワーで付いていた泡を流す。


　髪を洗い終えてから、治登は浴室に備え付けてあるタオルに柑橘系の香りがするボディーソープを塗って、先に直美の体を洗う。


　女性の裸体は確かに美しい。


　子供を産んでいるので、下腹部に妊娠線があるのだが、別に気にならない。


　愛し合えている者同士で過ごしている以上、葛藤のようなものは何もないのだし、互いに疲れを癒し合えていた。


　治登は有希が直仁から抱かれている事実を認めるしかないのだ。


　確かに辛い想いをさせたこともあったし、自分だって反省しているつもりだった。