「ひかるさん・・・私はあなたがもし、千裕様の奥様になられたとしても応援するつもりでいますし、それがなされなかったとしても、応援する気でいます。
それだけは伝えておきたくて。」
「吉岡さん・・・ありがとうございます。」
「あと、千裕様の近辺についてはとくに気をつけてあげてください。
会社では私も他の部下も気にしていられるのですが、家庭環境はあなたと高田さんしかおられないわけですから。」
「わかりました。何かあったら連絡するようにします。」
吉岡は、手短に用事をすませて、さっさと帰っていきました。
((裕文様のお母さんって千裕様に何をしてきたのかしら?とんでもないことって言ってたけど・・・))
そして、そのとんでもないことが意外にも早く起こってしまったのです。
いつものようにひかるが学校から地下通路を通って帰宅しようとすると、千裕が追いかけてきてひかるを呼びとめました。
ひかるは千裕の顔を見た途端、何かが起こったのだと察することができました。
「ひかる、落ち着いてきいてほしい。」
「どうしたんですか?なんか・・・いつもの千裕様らしくないです・・・。」
「屋敷にな・・・うちにある女とその女の召使が総勢で40人ほどきてる。
「ええっ!!!」
「さっき、親父から連絡があって、俺の婚約者が来るからそのつもりで接しろと言ってきた。
2か月後には結婚式をやるそうだ。」
「はぁ・・・?!?」
「素性は俺もわからない女性で、調べようとしても手がかりがつかめない女性なんだ。
そんな人ともちろん結婚なんてする気はない。ないけれど・・・」
「交換条件をつきつけられたんですか?」
「なぜ・・・それを?」

