翌朝、ひかるが目を覚ますと千裕の姿はなく、机の上にメモが残っていました。
『少し寝坊した。先に行く。』
「え・・・これだけ?」
ひかるにはまだ、ジンとくる体の痛みも、胸元のほてりも残っているというのに、もうお仕事モードなのかと思うと、ため息が出ました。
高田から帰りは地下通路を使うように指示を受けてひかるも学校へ向かいました。
始業前に職員室の前の廊下を通ると、千裕が職員室から出てきたところに遭遇してしまいました。
「お、おはようございます。」
普通っぽく挨拶はしなきゃ・・・とうつむいて挨拶したひかるに
「おはよう・・・。調子悪いとこないか?・・・こほっ・・・」
と、千裕が答えました。
あわててひかるは顔をあげると、千裕がこころなしか、顔を赤らめていたので、思わずひかるはクスッと笑ってしまいました。
「大丈夫ですよ。・・・うふっ・・・かわいい。」
「う・・・。」
ひかるはすれ違うと、スタスタスタと足早に教室へと移動しました。
そして、学校が終わると、ひかるは高田に言われたとおり、周囲に注意して地下通路を通って屋敷までもどりました。
高田は心配してくれていたのか、いつもよりうれしそうに出迎えてくれました。
そして、高田は帰宅後の予定を説明しはじめ、吉岡がひかるをたずねてくると教えてくれました。
「吉岡さんにはお世話になってばかりなのに、逃げることに気がいってしまって、連絡するのを忘れてたわ。
会社のことや裕文さんはどうしてるのかききたい。」

