「あ、だから、財閥とか会社のトップにふさわしいというか・・・。
そのお方がね、ひかるちゃんのことをすごく大切に思ってるんだなぁって話をしてくれて、ひかるちゃんががんばれることくらいは、私もできるんじゃないかって思えてきたの。
相手を思ってひくことばかりを考えるんじゃなくて、とことんつくして、捨てられる結果になっても私には結局なくすものってないわけだし、側にいる時間があったというだけでもいいんじゃないかなって。
だって、大切に思ってくれて側にいる時間こそが宝物だもん。」
「はっ・・・((側にいる時間が宝物。・・・そういえば、千裕様もご自分のお母さんのことを話してたときに、側にいて幸せだったから自分が生まれたって・・・。))」
「ひかるちゃん?どうしたの・・・のぼせた?
もう出ましょう。王子様のところにも行かないと・・・ねっ。」
ひかるは着替えてから幸恵と分かれて自分の部屋へと向かいました。
((いくらなんでも、ジャージー履きで千裕様のとこへ行ってはダメだろうな。あはっ))
「あれ?」
「いつまで待たせるんだ?明日は休日じゃないんだからな。
朝からフケるなんてできないだろ。」
「千裕様、べつにこんなところで待たなくても、書斎へおじゃまするつもりでしたのに・・・。」
「こんな時間だし、もしかしたら・・・部屋で寝てるんじゃないかと思ってさ。
あ、廊下じゃまずいから、じゃまするぞ。」
「あっ・・・先に入らないでくださいよ。」
千裕はひかるの部屋へ入るなり、勝手にひかるのベッドに寝ころびました。
「だめですよぉ!寝るんだったらご自分のお部屋に・・・あっ」
ひかるは千裕にひっぱられてベッドに突っ伏しました。
「兄さんからきいたよ。外国へ逃亡しようと目論んでたんだって?」
「あ・・・おしゃべりだなぁ」

