「おかえりなさいませ。」

しばらくいなかっただけで、懐かしく思える高田室長のお迎えの言葉。
ひかるはちょっとはずかしそうに顔を出して挨拶しました。

「こんにちは。」


高田室長は一瞬、じろっとひかるをにらみつけましたが、すぐに笑顔になっていいました。

「よくご存じの方々が待っておられますよ。ごちそうをご用意せねばなりませんから、手伝ってくれますね。」


「は、はいっ!」


「もどってくるなり、メイドの仕事ってきつくないか?」
千裕が小声で高田にいうと、


「ひかるは特別扱いする方が嫌がる娘でございますよ。
本当につらいときは、返事の仕方でわかります。」



「そっか。・・・高田の方がひかるのことをよくわかってるみたいだな。
でも、今日は早めにきりあげてくれないかなぁ・・・。」



「さぁ・・・どうしたものでしょうかね。
かわいい娘さんを守るのも私の仕事なのですがねぇ・・・ふふふ」



「た・・・高田。」





ひかるがお客様用のダイニングへ行ってみると、幸恵が手をふっていました。


「幸恵さぁ~ん!」


「ひかるちゃん、もどれてよかったね。」


「でも、幸恵さんのおうちが・・・」


「大丈夫よ。あのアパートはそろそろ引っ越さなきゃいけないところだったの。
昨日ね、ひかるちゃんの大切な千裕様から電話があって・・・こうなったの。

それとね、2、3日したら、裕樹さんとここの裏手にある家に住むつもりなの。
だから、ひかるちゃんと会えるよ。」


「ほんとっ。うれしい。今日は、ごちそうを並べて歓迎パーティするからね。」