昼休み、早速中庭のベンチでひかるは松田にマッサージしてもらうことになりました。
体に触れられることに抵抗がなかったわけではないけれど、松田があけっぴろげに人通りのある庭という場所を選んでくれたので、試す気になったのでした。
「あん・・・。うっ・・・」
「痛いですか?」
「ううん。すごく上手・・・気持ちいいよ。よすぎて、やばい声あげちゃいそ~。あはは。」
「いいですよ。あげてくれても・・・。みんな見てるし・・・。あはは」
松田の同じクラスの男子も数人やってきて、ひかるに話しかけてきました。
「祐希のマッサージってうまいでしょ。僕らも初めてしてもらったときは感動だったんすよ。」
「わかる、わかるよ。私は事務仕事してから帰ってるから、ほんとに先週から肩がガチガチでね。松田くんに呼び止められるほど、姿勢が変だったの。
今週は、がんばれそうよ。ありがとね、松田クン」
「お役に立てて光栄ですよ。肩でも腰でも遠慮しないで言ってください。
汗臭い、こいつらをマッサージするのと違って、先輩は柔らかくていい匂いがします。」
「松田ぁ!おまえ、そういういやらしぃーーー発言してたらなぁ・・・こうだぁ!」
松田は3人からポコポコたたかれていました。
ひかるは、最初に会ったときと違って、松田は楽しく過ごせているんだと思いました。
放課後から出社して、ひかるはバリバリ仕事をこなしていると、裕文が前日との違いに気づいて声をかけました。
「なんか、昨日よりキーボードの音が力強いような気がするんですけどねぇ。」
「えへへ。わかりますぅ?」
ひかるはマッサージの得意な後輩のおかげだと裕文に話すと、
「10代なのに・・・ババクサイ。」
ひかるは思わず、「年齢には関係ありませんよぉ。先週ほんとに肩がすごく痛かったんですもん・・・。」
と、反論してしまいました。
にらまれるかと思いきや、裕文はプッと笑って
「じつは、僕もかなり肩をこらしてしまう方なんですよ。
マッサージや針は利用しています。
次回2人で大仕事をするときは、マッサージの予約もいれておきますかね。」

