元気あげます!

「ひかるちゃん、プレゼンってどうだったの?」


幸恵の問いにひかるは笑顔を何とか作って、うまくいったことを報告しました。
しかし、体にもう力が入らないほど、クタクタになってすぐに横たわってしまいました。


あとで、吉岡から裕樹に連絡があり、ひかるのプレゼンの相手が裕文であることや、今後は裕文の会社へ入ることや家に住まわせることなどの条件を突き付けられていることなどが報告されたのでした。



「裕文さんってひかるちゃんのことが好きなのかしら?」

幸恵が裕樹にたずねると、


「違う。たぶん・・・あいつは千裕の大切なものを奪うつもりなんだ。
あいつは母親にベッタリで育ったからな。
父さんが千裕を呼んだときから、母親を守ろうと必死だった。

千裕ががんばればがんばるほど、あいつは対抗した。
でも、実力は明らかなんだ。

僕は、千裕ががんばったのは三崎の家をどうかしたいなんてことじゃなくって、実の母親のためと、育ててくれた施設のためだと知っている。
学生のときに、千裕に直接きいたら、答えてくれたんだ。

あのときの千裕は真剣な目をしていて、うそなんてなかった。
だから、僕は自分に適していると思う公務員になったんだ。

けど、裕文は違う。
年が近いこともあって、母親ゆずりのプライドの高さだ。
千裕に隙あらば、倒しに行くに違いない。

ある意味、そうやって競争しあってやってきたおかげで、金融部門は大きくなっていったともいえるんだけど、もう、そろそろそれではだめだと思うんだ。」



「ひかるちゃんに何かしてあげたいね。力になってあげたい・・・。」


「うん。あんなにがんばっているコが苦しむ姿なんて見たくないからな。」


「ひかるちゃんがいれば、私たちって素直に話せるって気づいてた?」


「そういえば・・・そうだな。」