「ううん。裕樹がそこまで決心したことなんだったら、反対しないし、私もひかるちゃんの側に居たい。」


「僕のそばじゃないのかよ!」


「あはは。」




学校登校2日目・・・。本来なら千裕の屋敷から通学しているはずの場所。

前日の千裕の冷たい表情と、さっさと背中をみせて去っていった態度に怖さを感じるひかるでしたが、そうなるために屋敷を出たのだから・・・と自分に言い聞かせ、幸恵にはにっこりと行ってきますを言って出かけていきました。


3年になってひかるにとってホッとしたのは、副担任も化学も数学も千裕にかすっていないことでした。
すべて別の先生だったので、顔を合わせることがあったとしても、それは通りすがり、もしくは用事でもない限り、会うことはないということです。



けれど、そんなひかるの心を乱すきっかけとなる人物に出会うことになってしまうのでした。

昼休みのことです。

ひかるが担任に頼まれて、クラス全員の健康調査票を保健の先生に届けにいくと、あと3mで保健室の入口という廊下に男子生徒が横たわっていました。


「どうしたの?」


「う・・・」


名札の色からして1年の男子であることはわかりました。
顔が赤いので、おでこをさわってみると、熱く感じました。

((発熱して倒れちゃったんだ・・・。))


ひかるは慌てて、保健室へ飛び込みました。

「先生!そこの廊下で1年の男の子が発熱して倒れてますぅ!」


そういって保健室の中を見ると、奥に千裕の姿もありました。


「あ・・・。」


千裕はひかるの話をきいて、すぐ廊下へと出ていって、1年男子をかついで、ベッドに寝かせました。


ひかるは、保健の先生に健康調査票をさっさとわたすと、すぐに教室へともどっていきました。