ひかるは吉岡に千裕のことを確認すると、吉岡の言うとおりにしたいと返事をしました。
先のことを考えれば、学歴はあった方がいいし、吉岡に逆らって、この仕事をやめるわけにはいかないと思ったからです。
「じゃ、新学期からということでね。」
「はい。すみません・・・お手数ばかりおかけして。じゃ私は今日は・・・」
「引きとめたせいで遅くなったわね。お疲れさま~明日ね。」
ひかるはアパートにもどると、肩でため息をつき、床に座り込みました。
そこへ買い物を済ませてもどってきた幸恵がもどってきて、クスクス笑ってします。
「かなり大変だったのね。まぁその前から緊張の連続だったし・・・そのまま寝ころんでいなさいな。
私、夕飯つくるから・・・。」
「あ、でも・・・」
「いいからいいから。休んでいいってところでは、休んでおいたほうがいいのよ。
私はひかるさんほど上手じゃないけど、いちおう自炊好きなんですからねっ。」
その頃、裕樹が吉岡と連絡をとっていました。
仕事や学校についてはうまくいけた報告をもらえたものの、三男の裕文が突然同じオフィスに来て、ひかるの先輩として指導しているということについては吉岡同様に裕樹も裕文の意図がわからず、監視をしてくれというだけに留まりました。
吉岡は千裕に裕樹のことを話したことも伝え、その結果、千裕がまた仕事に復帰できたことを話しました。
「そっか、やっぱりかなりのダメージくらってたんだな。千裕のやつ。
おりを見て、千裕には僕も連絡することにするよ。
それより、裕文の動き。こっちはよろしく頼みますよ。」
「はい、かしこまりました。では。」
吉岡は千裕には電話をいれませんでした。
裕文の件もあるし、学校の打ち合わせもしておきたいと思い、直接家の方へ向かいました。
千裕と高田にひかるが学校へ行く決心をさせたのは裕文だと伝えると、2人は驚きの表情をみせました。

