元気あげます!


「トモはほんとに教えてくれただけだし・・・。
それに、千裕様が教えてくれるなんて、ぜんぜん聞いてなかったし。
最初に言っといてくれたら、私だって・・・ここにすぐに来たのに。」



「わかった。もういい。俺がまたおまえを叱り飛ばしたら、おまえはどんどん皆川を頼るようになるだろうし、俺に隠れて何をするかわからないだろうからな。」



「何をするかって・・・私、隠れなきゃいけないようなことしてません!」


「あたりまえだ!!ひかるが俺から隠れるようなことがあったら、ここにはもう置いておけなくなる。
嫌でも出て行ってもらわなきゃならないし、出て行かせたら、おまえはもう身の破滅だぞ。
父親に渡したお金を自分で何とかしようと考えるだろ?」


「わからないことや、困ったことはすべて俺に言いにくるように・・・って言っておいたよな。」



「ごめんなさい。申し訳ございませんでした・・・。」


「どうした?またあらたまって・・・」



「私、こういうの困るんです。私はお金でつながれてるメイド見習いなんですよね。
なのに、千裕様にすごくよくしてもらって、ときどき使用人なのを忘れてしまいそうになるくらい、私のためにいろいろしてくださって・・・クリスマスは・・・あんな。

でも、新年明けから多忙で、ずっといなくなって、朝すれ違っても目もあわせてくれなくて、一生懸命、私は使用人だものって自分で言い聞かせて・・・。

使用人らしくがんばろうと思ったら、またこんな・・・。
ほんとに困るんです。なるべく、お仕事以外で関わらないほうが・・・いいんじゃないかと思って。」



「俺は早く逸材になってほしいって頼んだよな。戦力になってあがって来いっていったよな。どうしてかわかるか?」



「私が信頼のおける千裕様の片腕になれるように・・・」


「ああ、そうだ。俺の片腕として、側近としていてほしい人間だと思ってる。」



「私・・・それできません・・・。できないんです。」



「ひかる・・・!」


「失礼します。」


ひかるは思わず、自室へ走って帰ろうとしましたが、痛めた足がまだ言うことをきかずに、前につんのめって倒れそうになるのを千裕に受け止められました。