書斎に入った途端、千裕はさっきよりもまして、険しい表情になっていました。
バン!!!
「なぜ、あいつがひかるひかるっておまえを呼んでるんだ?
やってきてそんなに日がたってないだろ?
それに、玄関で聞こえたけど、トモって何?
あいつは俺と同い年だぞ。キャリアもあるし、おまえみたいなヒヨッコがどうして、彼氏みたいにトモ、トモって呼ぶ?」
「だから・・・あのね、私は皆川さんとか智晴さんって呼びますって言ったんですけど、私の方がここでは先輩なんだからって・・・私のことをひかるって呼ぶかわりに、自分のことをトモと呼んでくださいってことになったの。
ほんとただ、それだけで・・・。」
「高田は何と言ってるんだ?おまえたちがそういう呼び方してても注意しないのか?」
「注意も何も、私たち以外の人がいる場では名字で呼ぶし、対外的には名字呼び捨て。
これは基本でしょ。」
「つまり二人っきりのときにひかるとトモなんだ・・・。」
「そういうことになりますね。2人でお掃除するときとか、お休み時間とかくらいですけど・・・」
「よし、明日から春休み中は俺の会社でパソコンと英会話を勉強してもらうことにする。
学校へ通っている時間帯なら大丈夫だろ。」
「えっ!だって、そんな・・・会社の人に迷惑かからないですか?」
「それは心配ない。おまえ程度に教えるくらいの実力者はたくさんいるからな。
おまえに会った人選をして、部屋は社長室を使えばいい。
俺は、出たり入ったりか、学校に行く日はいないかもしれないがな。」
「そんなぁ・・・ずっと留守にしっぱなしで、突然帰って来たと思ったら、いきなりあれもこれもって・・・ひどいですぅ・・・。それに足が治ってないのに、そんなに遠出できません。ほんとに痛いから。」
「それも心配いらん。俺と出社すればいい。何だったら、社長室まで抱きかかえていってやろうか?」
「嫌です!!・・・・・と思ったけど、それいいかもしれませんねぇ。
さぞ、女性社員さんは反響があると思いますけど。」

