食堂のある2階まで、智晴に抱えられ、階段を上られると、ほんとに自分がお姫様のような気分になってしまうのが不思議なひかるでした。
2階に到達しようとするところで、ひかるが玄関の方へ目をやると、びっくりした顔でひかるたちを見つめる、千裕が立ちつくしているのが見えました。
「ま、まさか・・・。」
2階から叫ぶわけにもいかず、連れて行かれるままにひかるは智晴と食堂で食事することに・・・。
智晴は、ひかるの分も全部用意し終わると、「どうぞ」とまるで智晴がひかるの執事のようにふるまってくれました。
ひかるはさっきチラと見えたのは足が痛むせいだと割り切って、智晴に「ありがと、トモ。」と笑顔でいいました。
「相席させていただいてもよろしいでしょうか?ひかるお嬢様。」
「くるしゅうない。・・・!?・・・・はぁ?えっ・・・わっ!!!!!
ち、ち・・・千裕様。やっぱり玄関におられたんですかぁ?」
「迎えにも出てこないでなにやってんだ、おまえ!」
「怒らないでください。全部、私が悪いんです!
私がいい加減な掃除をしたばっかりに、ひかるは足をすべらせてしまったんです。
自由に歩けないから、私が自分からすすんで、移動手段になっているだけで、ひかるはさぼっているのではないんです。
すみません、申し訳ございません。」
「いや・・・まぁ・・・事情はわかったけど・・・・・ひかる、ちょっと・・・」
「いつからこんなことになってんの?」
千裕は小さな声でひかるを問いただすと、ひかるは
「誰かさんが、自分の会社の社員をリフレシュさせるとかで、私の後輩にしたんじゃないですか。」
「ぐはっ・・・俺の考えが甘かったか・・・」
食事を済ませると千裕は智晴にひかるは足を怪我して、歩きにくいので、千裕の書斎でファイル整理をさせると高田に伝えるように命じました。
智晴は書斎までひかるを連れていくことを申し出ましたが、千裕は自分が連れていくからといって智晴を高田のところへ行かせました。
「あれ・・・千裕様・・・階段は・・・?」
「自分で降りて来い!引きずれば歩けるんだろ。」
「ひどぉ~~~~い。」

