千裕が書斎に来るように大声で電話をかけてきたのでした。
「あ・・・まだ何かあるのかなぁ。クリスマスイブったってほっといてくれないかしら。」
そうつぶやきつつ、書斎のドアをあけると、赤やピンクのアロマキャンドルがこじんまりではあるが、きれいに光輝いて、ひかるを迎えてくれました。
「わぁ、きれい。・・・何かな。これもしかして、ごほうびなの?わぁ。ステキ」
部屋に入り、テスト勉強に勤しんだ机には小さな箱とリボンがかかった大きな箱が置いてありました。
「えっ・・・」
部屋の奥から、スーツ姿の千裕が「メリークリスマス」と声をかけました。
「約束どおり、プレゼント用意してやったぞ。」
少し照れくさそうな顔をしてひかるに箱をあけるように指示をしました。
ひかるは小さな箱から開きました。
絶対参考書であるわけがない箱のサイズ。
ドキドキしながら中身をみました。
「かわいい!」
思わずそう叫んでしまったのは、うっすらピンクの小さなオパールがついたイヤリングでした。
ひかるは、うれしいけれど、今度は大きな箱をあけるのが少し怖くなりました。
こわごわな手つきでリボンをほどいて、箱をあけると、慌ててまた箱を閉めてしまいました。
「なに、閉めてるんだ?」
「だって・・・参考書じゃないしぃ・・・」
「誰も参考書やるなんて言ってなかっただろ?」
「でも、でも、こんな高価なもの・・・」
「気に入らないっていうの?」
「いえ、そうじゃなくて・・・。」
「じゃ、つべこべいわずに、すぐに着替えろ!出かけるぞ。」
「えっ・・・は、はいっ」

