「すごい本の数ですねぇ。たまってるお仕事ですかぁ??」


ひかるは下から見上げながらたずねると、千裕は冷たい眼差しで質問してきました。

「もうすぐ何の日が来るんだ?」


「えっと、もうすぐ・・・クリスマスですね。いいなぁ、普通の人は・・・」



「めでたいヤツ。期末テストは頭の中からとっくに消えてる顔してるなぁ。」


「あ、そんなイベントもありましたね。」


「テストまでにこの本に載っている問題すべてを間違えることなく解いてしまうこと。
それが、今日からテスト前日までにやることだ。」


「そんなぁ・・・」


「おまえ普通の生徒より遅れてるの。とくに数学、科学が・・・。
そして、そんな困った生徒に貴重な生活時間をくれてやってる俺は何を教えてるんだっけ?」


「学院長なんだから、無理に現場に出て来なくてもいいのに・・・。」


「事件は現場で起こってるんだから、現場で仕事する方がいいの。」


「お仕事も楽じゃないのに、こんなにお勉強したら、死んじゃいますよ。
ああ、私のところにはクリスマスにサンタさんじゃなくて、死神様が来ちゃうんですね。
うぅ・・・。」


「このくらいで弱音吐くなよ。看病してもらった礼も兼ねて、俺のクリスマスもおまえにくれてやるからがんばれ。」


「え・・・それはダメですよ。千裕様はクリスマスはいろんなところに出席しなきゃいけないじゃないですか。」


「仕事くらい早く片付けてくる自信はある。・・・そうだ、クリスマスまでに課題をやり終えたら、おまえがほしがってたプレゼントをやろう。

どうだ、それならやる気が出てくるだろう?」



「どうせ、新しい参考書とか勉強がはかどる夜食セットとかいいそうだし、いらないですよ。プレゼントなんて。」


「まぁ遠慮するな。くれるってものは何でもありがたくもらわないと、バチが当たるぞ。」


「へいへい・・・」