一週間が過ぎて、千裕はとりあえず松葉杖姿で屋敷へもどってきました。




犯人は岸浦詩織の知り合いの男ということで、男が逮捕されましたが、三崎HDの代表であり、千裕たちの父親の三崎裕和氏が過去の清算をするという形で大手アパレル業の岸浦グループに3億円を支払い、詩織との婚約解消の手続きを正式に行なってなんとか決着がつきました。

三崎が経営資金に困っているときに、詩織が三男の裕文と同じテニスクラブで顔見知りだったこともあって、婚約して資金援助をしてもらい、その後、裕文が詩織にきちんと返済できないまま、詩織を遠ざける行動をとったため、父の裕和は千裕を詩織の婚約者にして資金返済するように命じたということがありました。


千裕は資金を数回にわたって、詩織に返済しに行きましたが、今度は詩織が資金を受け取らず、何かしら千裕につきまとうようになり、千裕も学校と屋敷の行き来しかしなくなると、とうとう学校にまで押しかけてきたのです。

つきまとってきた理由は、岸浦グループが今度は資金難になり、三崎の本体を継ぐのは千裕だという情報を得たため、詩織も詩織の両親も千裕との結婚話を早くすすめようとしていました。


千裕は必死に詩織に資金の受理を頼み、婚約解消を申し出て、詩織がモデルとして活躍できる場も用意し、頭を下げたのですが、詩織の親たちが目の前の返却資金よりも、三崎の後継ぎの座の方が魅力的と考え、千裕の申し出はすべて却下していました。

しかし、詩織自身が千裕の誠実さに申し出を受ける方向で文化祭の日に婚約破棄をしたのです。
無事すべて解決し、詩織をエレベーターまで送った後に事件は起こってしまったのでした。




千裕の入院中、ひかるはメイド見習いに集中できると思いきや、見習い研修の時間に千裕のお見舞いを兼ねて、補習の時間となり、夜に片付けをする日々でした。



屋敷に千裕がもどり、仕事後に千裕の書斎に行くと、何やら本が積み上がっている様子。