「あ、緊張せず、楽にしてください。会社の社員と違って、ここの奥係というのは三崎一族はもちろんのこと、会社にまつわる方々を温かくおもてなしする部署なのです。

家庭生活の延長と申しましょうか、あなたもお父様から少しはお話をきいておられるかもしれませんが、いまどきめずらしく、住み込みで働くことはもちろん、休日も自分の意思で決定するのは、はっきりいって難しいかもしれません。

こちらでもなるべく、休日はとれるように努力はしているのですが、会社の方がとてつもなく大きいですからねぇ・・・なかなか労働基準をしっかり守るまでいけないのが現状なんですな。」


「えっ・・・」


「ま、仕事それぞれは肉体労働できつい仕事ばかりではないし、君のように学歴も不完全な人には、うちが学力をバックアップする協力もしますので、学力や他のスキルアップは自腹を切らずに学べます。
それならどうですか?やってみたいと思う?」


((みさきちひろさん・・・この若さで専務でこの応対・・・高田さんも仕事はきびしそうだけど、人間的には優しそうなおじいちゃんだわ。
うん・・・がんばれる。

スキルアップもさせてもらえるなんて、なんてステキ!休日返上でもいい。))



「あの、専務さんは私の学歴が不完全っていわれましたけど、私のことや私の家のことはすべてご存じの上で、そういってくださるのですか?」


「あ、申し訳ないですが、すべて面接前に調べさせていただきました。
高校2年の秋で自主退学されているんでしょう。
その続きから、仕事の傍ら、うちの学校で学んでいただきますから、そのおつもりで。」


「うちの学校って・・・」


「三崎はよい人材を育てるところから着手する会社です。
あなたのように、失礼ながらワケありな人たちも、三崎学院でしっかり学んで、それぞれいい社員や執事として世界的に活躍しています。

そして、あなたもその仲間となる・・・」


((うそ・・夢みたいだ。))


「あの、実際のところ私はこの面接で不合格にはならないのですか?
あまりにいいお話なので、合格できた人のみとかいうのでは・・・」


すると、高田氏はとても優しそうな顔で言ってくれた。