「俺が全部悪いっていうのか?」



「そうは言ってませんよ。あんただって最初は両親の管理下でよく泣いてたじゃないの。
今やっと、自力で羽ばたける場所を持てるようになってどんな感じなの?」



「そりゃ、今は仕事も部下も自分の判断で動かせるわけだから、ひかるの補習も・・・。
あっ・・・そういうことか。」



「実際のところはご本人しかわからないけどね、尊敬する三崎の御曹司はあの子にはとても遠い存在なんでしょう。
好きであればあるほど、何とか近付きたい。でも近くて遠い存在みたいに思ってるんじゃないかしら。」


「だったら、卒業後にひかるがやりたいことをどんどんさせてやればいいんだな。」



「それは無理ね。」


「どうして?」


「それができる子だったらとっくにやりたいことをいっぱい並べてしゃべってるでしょ?
千裕に迷惑をかけたくないのよ。なんていうのかしらねぇ。
意地かしら・・・。」



「そんなところで意地をはられてしまっては、俺はどうすればいいんだ。」



「なんて、情けない顔してるんだろうねぇ。お嬢ちゃんの先生がきいてあきれるねぇ。」



「もう・・・ばあちゃ・・・いえ、琴美さん。真剣に困ってるんだからいい方法がないか考えてくれよ。」



「方法なら簡単よ。」



「なっ!・・・どうすればいい?」



「あんたはじっくり待てばいいのよ。
ひかるちゃんは私の恩人のお子さん。
私とパリの家にでも住んでもらおうかしらねぇ。」



「げっ!そりゃない。そんなに離れてしまったら、俺はまた見合いさせられるわ、ひかるはフランス人の男に・・・それは絶対だめだ。」



「ひかるちゃんを愛してるんだったら、しっかりと待っていればいいんです!
おどおど、ユラユラしてるんじゃありません!」


「う・・・」