耐えきれなくて、私は視線を反らした。

どうしたらいいのか分からなくて、胸の高鳴りがおさまらない。


「答えは? 」


答えって……

“May I kiss?”
(キスしていい?)

そんなの、どう返せばいいのよ。


「浅香くんの意地悪……/// 」


ぷいっと反対側を向いて、少し拗ねた態度を取った。


「ごめんごめん。麻里也が可愛いから、つい 」


ムッと唇を尖らせて彼を見ると、悪魔みたいな笑顔をするの。

そうやって、いろんな女の子たちを魅了してるんだよね。


「ま、答えがyesでもしなかったけど 」


どこまで本気なのか分かんない。

私はからかわれてるだけなのかな。


「じゃあ、放課後校舎裏の渡り階段で 」


そうふっと笑みを見せると、浅香くんは資料室を出ていった。


渡り……階段……

期待しちゃいけないって分かってるけど、女は期待しちゃう生き物なんだよ。




《40へ》