ゆっくりと瞳を閉じると、彼の顔が近付いてきた。

どうしよう。

どうして私は目を瞑っているんだろう。


チュッ

鼻の頭に唇が触れて、そっと離れた。

は、鼻?!///

目を開くと、悪戯に笑う浅香くんがいた。


「可愛いから、からかいたくなっちゃった 」


「ひどーい!///何それ 」


肩が震えるくらいドキドキしてたのに。


「冗談だよ。ごめんね? 」


やっぱり、女の子の扱いに慣れてるのかな。

どこまで本気なのか分かんないよ。


「じゃあ、放課後体育倉庫の裏にいるから 」


そうふっと笑みを見せると、浅香くんは資料室を出ていった。

それって、一緒に帰ろうって事なのかな。


それとも……

期待しちゃいけないって分かってるけど、落ち着かない自分がいた。




《39へ》