「腹……減った 」


…………


家へ連絡をして事情を話すと、おばさんは快く迎えに来て、彼の家まで送ってくれた。


“沙木倉”

奏祐くんは、アパートで1人暮らしをしてるみたい。


キッチンの机に煮物のタッパを置くと、手を貸してベッドに座らせる。


持ってきた救急箱を開いて怪我の手当てをする。


「いっ……てぇ 」


口角の切れてる所が染みるみたい。


「すごく心配したんだからね。死んじゃったらどうしようかと…… 」


消毒薬をしまいながら、ふと彼に目をやると、伏せ目がちな表情で何かを考えているようだった。


「じゃあ、私帰るね 」


そう立ち上がろうとした時、ギュッと腕を掴まれた。


「なんで、こんなに優しくしてくれるの? 」


「えっ///それは…… 」


何でだろう。

気付いたら、ほっとけなかった。

どう答えたらいいのか分からなくて、私は黙ってその場を去った。




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