パパラッチはまいて来たのか、周りに西南の生徒は見当たらなかった。


「気になる?沙木倉くん 」


「えっ、なんで……知ってるの? 」


さっきのやり取り、どこかで見られてたみたい。

なんか複雑な心境。

ちょっと気にはなるけど、そう思ってるって知られたくないって言うか……


「あいつは、やめときなよ。麻里也には似合わない 」


そんな目で見ないでよ。

頬がほんのり赤く染まり、ふと視線を外した。

そんな事言われたら、期待しちゃう。

こうやって、女の子たちのハートを掴んでるのかな。


浅香くんは、わざわざ私の家の近くまで送ってくれた。

優しい笑顔を見ると何だか癒される。

私は手を振ると、振り返らずに家へと足を急がせた。




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