「ねぇ、君達ここで何してるの??月代零夜(ツキシロレイヤ)、呉那蓮司(クレナイレンジ)」


後ろ姿だけでも誰か分かる派手な風貌の1人。

しゃがみこみ赤髪を携えた呉那蓮司は、僕を見るとあからさまに驚いた顔をした。

それは僕が屋上に入ってきていたことに対するものか、名前を呼ばれたこと対するものなのか……。

襟足だけ長い髪型の黒髪に銀色のメッシュを入れた月代零夜は、前髪から覗く瞳で、僕を鋭く睨み付けている。

……気に入らないな、その目。


「おい、零夜!!誰か入ってきたら言えよ!!」


「……教えろとは、言わなかっただろ??」


「言わなくても、普通は教えんだろ?!」


「はぁ……お前の普通と俺の普通を、一緒にすんな……」


「おい、零夜!!テメェ、溜め息つくんじゃねぇ!!」


「お前と一緒にいたら、俺だって溜め息もつきたくなる」


呉那蓮司は、呆れたように溜め息を吐きながら壁にもたれかかっている月代零夜に、掴み掛からん勢いで言い合いを始めた。

……というか、客観的に見たら呉那蓮司が月代零夜に遊ばれてるようにしか見えないけど……。


「毎度毎度、俺のことバカにしてんだろ?!」


「……まぁ、してねぇワケじゃねぇな。それなりに、だ」


「おいコラ……そこは否定しろよ」








…………それにしてもうるさい。








「嘘は好きじゃねぇからなァ……ほんとのことを言ったまでだ」


「んとに、ズゲズゲとものを言いやがって……!!ちったぁ相手のことを――――……」








…………それに何かムカつく。








凄い殴りたい……。








「ねぇ、これ以上騒ぐと殴るよ??」