向かう先にあるのは生徒会室の近くにある、一番静かな場所に続く階段。

僕が閉めた扉の向こうからはまだ騒がしい声が聞こえてきていて、静かな廊下に響いている。


「……はぁ」


何回目になるか分からない溜め息が、無意識に口をついてこぼれ出ていく。

どこもかしこもうるさくて、ゆっくり眠れない。

最近理事長からの【依頼】が無くて、鬱憤を晴らすことも出来ないし……。






――――でも、あそこなら……






階段をのぼっていると、扉の向こうからも生徒会室と変わらない程の騒がしい声が微かに聞こえてきていて、僕は小さく口元に微かな笑みを称える。


「……侵入者だ」






少し憂さ晴らしに付き合ってもらおうか……?






スッと細めた瞳の向こう。

無機質な鉄製の扉が視界にうつり、僕はぺろりと舌先で唇を舐め屋上の扉を開いた――――……










「なぁなぁ、こいつ寝てるぜ?喰っちゃってもいいか?」


「いいんじゃね?別に……」


「だよな!こんなところで寝てるってことは、襲ってくださいって言ってるようなもんだし!」


「……それは違ぇだろ」


扉を開けば、途端に耳に入ってくる侵入者たちの騒がしい声。

鉄製の扉でさえも通り抜けてきていた声なだけあって、扉一枚の隔たりが無くなっただけで予想以上にうるさい。