怒りを向けていた零に対して態度は打って変わり、あたしは瞳にうっすらと涙の膜を貼り付けてすがる声。



でも。助けを求める妹にもこの兄貴は優しさなんてものは全くもって皆無。



ハッと鼻で笑って、「見た目ばっかしてっからこんなことになんだよ。早起きしたのにバカだな。御愁傷様。」そう言いたいことだけ言うと最後に「パンダみたいだなその目。」捨て台詞のように吐き出し踵を返してしまった。



『うぅ…この薄情者!鬼!悪魔!パンダより薄いはばぁあああか!』



はぁはぁ、涙目になりながら叫んだヤジは多分はっきりと零に届いているだろうけど、零からは何の返事もなく、その姿はもう一階に下りてしまっていた。



どうしよう…。遅刻だけはもうしないって誓ったのに。



根っからの朝が弱い低血圧人間のあたしは幼稚園、小学校、中学校と遅刻することが殆どで、それは成績は十分なのに高校に受かるか受からないかのギリギリラインをいくほど。



まぁ入試2週間前から死にそうになるぐらい頭を使って勉強して、結果的には受かったんだけど、高校に上がったなら遅刻ばっかしてる今までのあたしとはおさらばしなくちゃいけない。



なんせ、"留年"というものがあるのだから。