『――…うん。上出来♪』



最後にスプレーで巻きをキープすれば、ふわふわの巻き髪が完成してあたしは鏡の中の自分をまじまじと見つめた。



なんかあたし今日やばい!自分で言うのもなんだけど今日のあたし可愛いかもしんない!



瞳をキラキラと輝かせ、はわわー…と自分を見つめるそんなあたしに突然、前触れもなく突き刺さってきたセリフ。



「ブスの自分と睨めっことかつまんねぇことしてんなよブス。」



むむっ、この声は…!



ピクリ、そのセリフに眉が片一方つり上がり、声が届いた方に顔を向けてみるとそこには案の定。



憎たらしく唇の端を持ち上げて意地悪く笑みを浮かべ、ドアの縁に手を掛け軽く首を傾げているあたしと年子の兄、零(ゼロ)が居た。



『勝手に部屋入んないでよバカ零っ。』



仮にもここは乙女の部屋。



いくら妹だからって着替え中だったらどうしていたんだこの兄貴は。



今しがた言われたセリフに怒りを覚え、ノックもなしに乙女の部屋に入った常識のなさにキッと鋭い瞳を零に向けるあたし。