『〜〜♪』
昼間とは違い、朝はまだ肌寒さを覚える４月初旬。
中学を卒業し、短い春休みが終わって、今日から天美学園(ｱﾏﾐｶﾞｸｴﾝ)の生徒となるあたしはいつもの起床時間よりずっと早く起きて２時間ほど前から鏡の前に座り続けたままだった。
それも、そのはず。なんてったって今日は高校生活第一歩目。スタートの日だ。
入学式も気合い入れたけど、今日だって気合い入れていかなきゃ輝かしいスクールライフは手に入らない。
朝起きたら寝癖頭のまま洗面所に行って洗顔。化粧水と乳液を塗ったらそこで部屋に戻ってそっから鏡の前に居座る。
お気に入りの化粧ポーチからガサガサと道具を取り出していざ開始。化粧下地にリキッドファンデ。パウダーにハイライト。眉毛を描いて次はアイメイク。
ぐるりと黒のラインで瞳を縁取ればビューラーで睫毛を上げてマスカラを上下丁寧に塗り、後はクロスロングの付け睫を付けて完成。
そして、化粧が終わったら一番気合い入れるところでもある髪に手をやる。
高校に受かったその日に染めたミルクティブラウンの髪を時間掛けて丁寧にコテでくるくると巻いていく。
