地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ

松沢の頭から二本の角が生えたように見えた。


「滝本君、杏樹はどこ?」

「…………どこか行った」

「はぁ!?」


ギロっと睨まれる。


「ちょっと目を離したら…居なくなってたんだよ」

「杏樹を一人にしたの!?」

「あぁ…」

「なんてことしてくれるのよっ!?」


般若並の形相……。隣にいる悠も、ちょっとビビってる。


「携帯は?」

「電波の繋がらないところにいるらしくって、ダメだ」


はぁ……とデカイため息をついて頭を抱える。



「あの子……極度の方向音痴なのよ?」

「「は?」」

「杏が…?」


聞き返すと頷いた。



「絶対に誰かがついてないと、どこでも行くし…杏樹が一人で行動出来るのは、学園と家、家から私の家までよ」