――陸Side――


12月24日。


クリスマスイブ。



街中が赤と緑の装いになり、カップル達が心躍る日。



本来なら、杏の手料理で二人だけのパーティーをするつもりだった。




今は、それも一生叶わない夢だ。





ほとんど眠れないまま―…朝を迎えた。


窓のカーテンを開ける。



「はぁ…………」



重いため息とは裏腹に、眩しい程の朝日が顔に掛かった。




ついにこの日が来た。



今日は人生の中で、1番うんざりする日だと思う。



「…………あと12時間か」



婚約会見まであと12時間。


会見の前に、学園の終業式がある。



サボって西棟行こっかな……。



あそこに行けば、杏に近づけるような気がする。