地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ





再び静かな部屋へとなる。




「………杏…………?」



呼び掛けても返事はなく、俺一人の声が空気に溶けていくだけ…。





『朝に鏡でも見たら?』


杏が言い残した言葉を思い出し、慌てて部屋の電気をつけた。



「…………ッく………」




鏡に映った俺の首筋には、一カ所だけ紅くて小さな花が咲いていた。




『あたしが来たって印ね』


杏の声が脳内を駆け巡る。



「………バカ杏………これじゃ…さらに泣きたくなんだろ……」



部屋の電気を消し、ズルズルと床へ座り込む。



深夜2時の出来事……。




朝…親父達に呼ばれるまで、暗い部屋の中で一人…泣きつづけた。



月明かりだけが……杏がいた場所を照らしていた――。