地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ


月を隠していた雲がゆっくりと動き出した。


部屋の中へ少しだけ光が入って来る。




『…ごめん……もう行かなきゃ』

「え………ッッ……!?」



一瞬だけ首筋に走った痛みに、体が固まった。



『あたしが来たって印ね』

「……………」

『朝に鏡でも見たら?』

「あ……ん………?」



『ご飯は無理にでも食べること!……あとは…あたしが嫌いなモノわかってるよね?』


両手で頬を挟まれる。



『………ずっと近くで見ててあげるから、がんばれ陸』

「…………っ……」


ニコッと微笑んだと思ったら…


『大好き……陸』


そう耳元で囁くと、唇に触れるだけの優しいキスをして


フッと周りの空気に溶け込むように掻き消えた。