月を隠していた雲がゆっくりと動き出した。
部屋の中へ少しだけ光が入って来る。
『…ごめん……もう行かなきゃ』
「え………ッッ……!?」
一瞬だけ首筋に走った痛みに、体が固まった。
『あたしが来たって印ね』
「……………」
『朝に鏡でも見たら?』
「あ……ん………?」
『ご飯は無理にでも食べること!……あとは…あたしが嫌いなモノわかってるよね?』
両手で頬を挟まれる。
『………ずっと近くで見ててあげるから、がんばれ陸』
「…………っ……」
ニコッと微笑んだと思ったら…
『大好き……陸』
そう耳元で囁くと、唇に触れるだけの優しいキスをして
フッと周りの空気に溶け込むように掻き消えた。


